アメリカの高校で「YES」と言い続けて笑われた話|留学で気づいた日本人の英語の癖
アーカンソー州の高校に留学した僕が、英語の「相槌」で恥をかいた実体験。日本人が無意識にやってしまう英語の癖と、ネイティブに自然に聞こえる表現を紹介します。
アメリカの高校に留学していた頃、僕は毎日のように恥ずかしい思いをしていました。
中でも一番辛かったのが、「YES」のエピソードです。
クラスメイトに「YES」でからかわれた日々
渡米したばかりの頃、僕は英語がほとんど話せませんでした。アーカンソー州の公立高校で、周りは全員ネイティブスピーカー。授業中に先生やクラスメイトから質問されても、正直、何を聞かれているのかよくわからない。
そんな時、僕はとりあえず「YES」と答えていました。
日本人的な感覚で言うと「うん」「はい」みたいなものです。相手の話を聞いていますよ、という相槌のつもりでした。
でも、それが裏目に出ました。
ある日から、クラスメイトの間で僕をからかう「遊び」が始まったのです。誰かが僕に何か質問する。すると、別の誰かが「YES!」と言って、周りがくすくす笑う。
「Hey Keita, do you like pizza?」 「...YES」 (周りから笑い声)
「Do you understand?」 「...YES」 (また笑い声)
当時は本当に辛かった。英語さえできれば、ちゃんと受け答えができていれば、あんな思いをしなくて済んだのに——。今でもあの時のことを思い出すと、胸がチクッとします。
日本人が「YES」を連発してしまう理由
後になって気づいたのですが、日本語と英語では「相槌」の使い方がまったく違います。
日本語では、相手の話を聞いている時に「うん」「うん」「はい」「なるほど」と頻繁に相槌を打ちますよね。これは「ちゃんと聞いていますよ」というサインです。
でも英語では、そこまで頻繁に相槌を打ちません。特に「Yes」「Yeah」を連発すると、
- 全部に同意しているように聞こえる
- 話の内容を理解していないように見える
- 場合によっては、からかわれる原因になる(僕のように)
英語ネイティブは、相手の話を聞いている時、うなずいたり、アイコンタクトを取ったりして「聞いていますよ」を示します。言葉で相槌を打つとしても、「Uh-huh」「Right」「I see」など、状況に応じて使い分けます。
英語の自然な相槌
- Uh-huh - 軽い相槌(日本語の「うん」に近い)
- Right - 「そうだね」と同意を示す
- I see - 「なるほど」と理解を示す
- That makes sense - 「それは分かる」と納得を示す
- Interesting - 興味を示す時
ポイントは、連発しないこと。適度な間隔で、表情やうなずきと組み合わせて使います。
ホストファミリーとの食卓で学んだ「I'm fine」の落とし穴
相槌だけではありません。ホストファミリーとの生活でも、日本人的な英語の癖で何度も戸惑われました。
夕食の時間。ホストマザーが「Do you want more?」(おかわりいる?)と聞いてきます。
僕はお腹いっぱいだったので、「I'm fine, thank you.」と答えました。
すると、ホストマザーが少し困った顔をしたのです。
「Are you sure? You didn't eat much...」(本当に?あまり食べてないけど...)
後で分かったのですが、「I'm fine」は英語では少し曖昧で、時にネガティブなニュアンスを含むことがあります。「まあ、別に...」みたいな感じです。
食事を断る時は、もっとはっきり言った方がいい。
- 「No, thank you. I'm full.」(いえ、お腹いっぱいです)
- 「I'm good, thanks. It was delicious.」(大丈夫です、美味しかったです)
日本人は「fine」を「元気」「大丈夫」というポジティブな意味で覚えていることが多いですが、実際の会話では「可もなく不可もなく」程度のニュアンスになることがあります。
「I can't speak English well」と言って困惑された話
これも留学初期によくやってしまっていたミスです。
英語に自信がなかったので、会話の最初に「I can't speak English well.」(英語がうまく話せません)と言っていました。日本人的な謙遜のつもりです。
でも、相手の反応は「え?...じゃあなんで今話してるの?」という困惑でした。
考えてみれば当然です。英語で「英語が話せません」と言っているわけですから、矛盾していますよね。
英語圏では、日本的な謙遜はあまり通じません。むしろ、自分を必要以上に下げると、相手を困らせてしまいます。
もし英語に自信がないことを伝えたい時は、こう言った方が自然です。
- 「I'm still learning English.」(まだ英語を勉強中です)
- 「My English isn't perfect, but I'll try.」(完璧じゃないけど、頑張ります)
- 「Bear with me, I'm working on my English.」(英語を練習中なので、ご容赦ください)
ポイントは「できない」ではなく「学んでいる途中」というニュアンスにすること。前向きな姿勢を見せた方が、相手も応援してくれます。
「Please sit down」で先生に怒られた
これはアメフト部での出来事です。
ある日、チームメイトが疲れていたので、「Please sit down.」と言いました。「どうぞ座って」という親切心のつもりでした。
すると、近くにいたコーチが眉をひそめました。
「Please」をつければ丁寧になると思っていたのですが、実は「Please + 命令形」は、場面によっては上から目線に聞こえることがあります。
先生が生徒に「Please sit down.」と言うのは普通ですが、生徒が友達や目上の人に使うと、命令しているように聞こえてしまう。
もっと自然な言い方は:
- 「Feel free to sit down.」(遠慮なく座ってね)
- 「You can sit down if you want.」(座りたかったら座っていいよ)
- 「Want to sit?」(座る?)
丁寧にしたいなら「Would you like to sit down?」ですが、友達同士ならもっとカジュアルで大丈夫です。
日本人の英語が「不自然」に聞こえる根本的な理由
留学生活を通じて気づいたのですが、日本人の英語が不自然に聞こえる原因は、単純な文法ミスよりも、文化的な前提の違いにあることが多いです。
- 相槌の文化差 - 日本語は相槌を多用するが、英語はそうではない
- 謙遜の文化差 - 日本では美徳だが、英語圏では自信のなさや矛盾に見える
- 丁寧さの表現差 - 「Please」をつければOKというわけではない
教科書で習う英語は文法的には正しくても、こういった文化的なニュアンスまでは教えてくれません。
僕がリスニング力を伸ばすために観ていたSouth Park(アメリカのカートゥーン)では、ネイティブ同士の自然な会話が聞けました。「あ、こういう場面ではこう言うんだ」という発見が沢山ありました。教科書英語との差に、最初は戸惑ったものです。
恥ずかしい経験が、今の僕を作った
「YES」でからかわれた経験は、当時は本当に辛かった。でも、あの経験があったからこそ、英語の「違和感」に敏感になれたのだと思います。
今でも英語は完璧ではありません。でも、少なくとも「なぜ通じないのか」「なぜ不自然に聞こえるのか」を考えられるようになりました。
もし今、英語で恥ずかしい思いをしている人がいたら、伝えたいことがあります。
その経験は、絶対に無駄にならない。
恥ずかしい思いをした分だけ、あなたの英語は自然になっていく。僕はそう信じています。
この記事が、英語学習中の誰かの参考になれば嬉しいです。